★★山岡瑞雪作品集★★
希求の果て』 文芸社より2000年発行
『破滅の足音』理想書店より電子本2005年9月発行
『雲のかなたに』理想書店より電子本2006年2月発行
『ティンパニは鳴り止まない』 マチともの語り掲載

2007年01月10日

自由なイメージで、藤沢周平の世界を楽しむ♪

お正月、テレビでは毎年のことですが、長々と時代劇をやっていましたね。これを観るか観ないかはどうも配役にもかかってくるようです。

前々から、素晴らしいと聞き及んでいた藤沢周平の本を去年暮れ、やっと読みました。『蝉しぐれ』です。彼の作品は描写が素晴らしいと聞いていたのですが、なるほどと思いましたね。

「海坂藩普請組の組屋敷には…」から始まる少年剣士(文四郎)の物語なのですが、この海坂藩というのは、彼が作り出した架空の藩だそうです。

それが、文芸春秋から出ている『藤沢周平の世界』の本の見開きに、井上ひさしが制作した「海坂藩・城下図」が掲げられているのですね。この『蝉しぐれ』の小説の中の説明や描写から城下町が描けるわけです。

本当に丁寧にしっかりと事実関係が分かるように説明し描写されているのです。なので、まるで自分がその場にいるようにイメージが描けるんですね。

また、風景描写も素晴らしいし、その中で人物の動きが映像のように目に浮かぶんです。

ある嵐の夜、出水して城下の半分が水浸しとなる恐れを回避するために、五間川の上流で堤を切るという場面。

家に戻っていなかった父の代わりに駆けつけた文四郎。当初切る予定の柳の曲がりに着いたとき、父助左衛門が突如現れ、変更を申し出ます。ここで土手を切れば多くの稲田がつぶれるというのです。

父の気迫こもる熱弁に、切開は鴨の曲がりに変更され、作業隊に混じって、文四郎も鍬をふるって厚い土手を切り崩していきます。両端を残し、全員土手に引き挙げます。両端は熟練の常雇いが命じられます。

「作業場所の両端に切りが入り、そこから水が落ちはじめると、やがて薄くなっていた土手がどっと崩れ落ち、途方もない量の黒い水が荒れ地にむかって奔出した。その勢いで、文四郎たちが立っている土手にもめきめきと亀裂が入り、逃げようとした文四郎は土にすべってよろめいた。その腕を強い力でつかんだ者がいた。助左衛門だった」

まるで、自分の腕がぐっとつかまれた思いがしましたね。みごとなものです。私は以前、テレビでも観ていたのですが、それは失敗でした。あのときの俳優がダブって浮かんでしまうのです。

今、『武士の一文』が映画化されていますが、映画を観るなら、本を読まない。本を読むなら映画は観ないと割り切ったほうがよさそうです。

白紙の状態で本を読んで、自分の瞳の裏に浮かぶ自由なイメージを大事にして、藤沢周平の世界を楽しみたいなと思いました。
posted by 瑞雪 at 11:58| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
押し後残します
Posted by 人妻 at 2008年01月26日 17:29
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